クモの糸の人工合成を成功させたSpiberという山形のバイオベンチャーがスゴいぞ!

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企業紹介
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技術を武器に果敢に新事業に挑み続けるベンチャー・スタートアップが日本にもたくさんあります。そんなベンチャーやスタートアップについて独断と偏見で紹介していきます。

それでは、記念すべき第一弾!

山形のバイオベンチャー企業である 「Spiber(スパイバー)」 が今回の主役です!

蜘蛛(クモ)が紡ぎだす糸を自然界で一度も見たことがない人はいないでしょう。絡まると体にまとわりついて、なかなか取れない厄介なあの糸です。

クモの糸は、軽くて、しなやかで、強い、まさに夢の繊維素材として世界中で注目されてきました。しかしながら、その人工合成は実現不可能と言われてきました。

日本のスパイバーが世界で初めてその技術を完成させて、量産化に成功したのです。

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9分で分かるスパイバーの魅力

スパイバーのことを知る前にまずは動画を見て下さい。

クモの糸で変わる世界: 関山 和秀 at TEDxTokyo

この動画はスパイバーの創業者関山社長がTEDに登壇した時のものです。僕はこの動画を見てスパイバーのことを知り、関山社長が描く「ものづくり」の未来に感銘を受けました。

スパイバーにはこれまでのものづくりの概念を大きく変えてしまう力があります。世界中の優秀な研究者や技術者が「できっこない」と諦めていたことも、辛抱強く信念を貫き「やってみる」ことで世界に先駆けて成功させました。

スパイバーとは?どんな企業なのか

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(出典:Spiber株式会社

改めて、スパイバーの企業概要を紹介します。

  • 【企業名】Spiber株式会社
  • 【企業情報】山形県鶴岡市に本社を置くクモの糸の人工合成を行う繊維ベンチャー企業です。
  • 【事業内容】新世代バイオ素材開発
  • 【設立】2007年9月
  • 【社員数】93名(取締役8名含む。2015年10月現在)→ 186名(取締役9名含む。2018年4月現在)
  • 【URL】http://www.spiber.jp
  • 【備考】経産省が選定したJ-Startupの一員である。

少し古いデータにはなりますが、社員数を見て分かるとおり、スパイバーは現在、急成長中の企業です。2018年には50億円もの大金を調達し、東南アジアに量産工場の建設計画を発表したばかりです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38278120Y8A121C1XY0000/ 

僕も昔、とある転職エージェントからスパイバーを紹介されたことがありました。失礼なことですが、その時、まさかここまで急成長するとは思いもしませんでした。

クモの糸の人工合成?事業の内容とは

スパイバーの事業が伝統的な養蚕のように蜘蛛を沢山集めてきてその糸を回収するようなものであったならば紹介もしません。先進性やスケーラビリティもなく面白さにも欠けます。

スパイバーは蜘蛛の力を一切借りず、蜘蛛が作り出す糸と同じ成分の糸を人工的に作らせる技術を保有しています。さらに、それを実験室で少量を作るだく、量産化も可能にしているところが凄いのです。スパイバーは繊維素材を提供することを事業としようとしています。形は繊維メーカーですが、その製造方法から先進的なバイオテク企業とも言えます。

スパイバーは開発に成功した糸を「QMONOS(クモノス)」と名付けました。人から忌み嫌われる蜘蛛を全く連想させないこの表記は秀逸でお洒落だと思います。

スパイバーは既に人気アウトドアブランド「THE NORTH FACE」とタッグを組んで、自社素材「QMONOS」を使った実用化にも挑戦しています。プロトタイプにはなりますがMOON PARKAと名付けられた商品開発に成功しました。

THE NORTH FACE – Spiber × GOLDWIN

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(出典:Moon Parka: World’s First Garment Made From Synthetic Spider Silk

このパーカーを見て、人工合成されたクモの糸で作られていると思う人はいないでしょう。まさか!?と思ってしまうほどの見た目です。化学繊維と言われても信じてしまうほど見た目の遜色がありません。

クモの糸のポテンシャルがスゴイ!

スパイバーが目を付けたクモの糸ですが、実をいうとこのポテンシャルが凄いです。

クモの糸は「石油を使わない夢の繊維素材」と言われ、そのポテンシャルは高くて「ナイロンより高い柔軟性と鋼鉄より340倍も高い強度を兼ね備えた夢の繊維素材」と言われます。

軽いにも関わらず、鉄よりもずっと固く、しなやかって「そんなものあるわけないじゃん」って思ってしまいますよね。だから、夢の繊維素材なのです。

クモの糸の強度を説明するために比較されるのが防弾チョッキに使われる「アラミド繊維」ですが、クモの糸の強度はアラミド繊維の7倍です。防弾チョッキの7倍の強度がある繊維が現実にあれば、飛んでくるどんな銃弾でも跳ね返すでしょう。

クモが紡ぎ出す糸に繊維素材としてそれほどまでのポテンシャルを持っているとは到底想像できません。

これだけ高いポテンシャルを持った繊維素材ですから、着目する企業や研究機関はスパイバーだけではありません。アメリカ軍やNASAも研究に着手し、実用化に向けた開発を試みましたが難易度の高さに断念したと言われています。

スパイバーの技術の何がスゴイ?

クモ糸の正体は何かと言うと、実は「フィブロイン」と呼ばれるタンパク質です。

普遍的な技術として遺伝子組み換え技術がありますが、この技術は大学の研究室でも普通に使われている技術です。蜘蛛の遺伝子情報のなかでフィブロインをコードする遺伝子の情報さえあれば、この技術を使うことでフィブロインの人工合成は理論上可能です。

スパイバーの技術が凄いと思うのが、人工合成したフィブロインを繊維として使えるように「紡糸」する技術の開発に成功したことです。

The Wall Street Journalの記事でもあるように、そもそもタンパク質はとても扱いづらい素材です。タンパク質の実験をしたことがある人ならば分かると思いますが、スパイバーのタンパク質を糸にするという技術がいかに素晴らしいか分かると思います。

カギとなる試練は、量産する上でいかに糸を強くできるかだ。これまで多くの研究者がこの課題につまずいてきた。さらに、樹脂で糸を覆うなどの方法を含め、さまざまな要素から糸を保護する手法についても実験を重ねる必要があるという。全ての有機物がそうであるように、クモ糸も最終的に分解される。

(出典:The Wall Street Journal)

スパイバーはベンチャー企業であり、人的なリソースが十分でなかった時期にこれら種々さまざまな問題・課題をクリアし、ノウハウを積み上げたことで実用化させました。これがどれほどスゴイことなのか、この企業の将来が楽しみです。

クモの糸にとどまらない、スパイバーの野心が止められない

鋼鉄の340倍という異次元のタフネスを有する「クモの糸」をはじめとするタンパク質は、20種類のアミノ酸の組み合わせにより多種多様な素材を生み出すことが可能な素材の「プラットフォーム」です。機能性と環境性に優れ、テーラーメイドで多品種少量生産でも低コスト化が可能という、とてつもないポテンシャルをもつ新世代の基幹素材として期待されています。遠くない将来、金属やガラス、ナイロンやポリエステルのように、人類がタンパク質を使いこなす時代が到来します。私たちは、志あるパートナーとともに、ものづくりの新時代を切り拓きます。

(出典:スパイバー)

自然界の生物はありとあらゆる構造、活性、性質を有するタンパク質をたった20種類のアミノ酸より合成します。

QMONOSの事業で成功し、そこで得たノウハウを用いて、これをプラットフォームとして次から次へと新素材を開発していく考えなのでしょう。

このようなものづくりの概念は「バイオエコノミー」として欧米では活性化しています。スパイバーの次のアイデアが注目されます。

最後に

スパイバーがユニークだと思うのは本社を東京や大阪など人が集まりやすい大都市に構えるのではなく、山形県の鶴岡市に置いている点です。

これには関山社長のある思いがあります。

本社を山形県内に置いているのは、フィルタリングだそうです。

実際、スパイバーへ入社したいと考える人は、日本国内だけでなく、世界に広がっているようで、全社員の10%は外国籍社員であると書かれていました。注目されるバイオベンチャー、社会貢献性の高さ、将来が有望であること、世界に先駆けて挑戦などなど、聞こえがいい言葉が並ぶ企業なので、残念ながら熱意はなく、その肩書き欲しさに入社を希望する人も増えているようです。そこで勤務地を山形県鶴岡市とすることで一つのフィルタリングを実施しているそうです。入社希望者の大半は、山形県外からの移住になるので、「それでも入社したいか?」と生半可な気持ちで応募ていないこと、その本気度を勤務地で判断しています。

鶴岡と聞いてピンっときた人もいるかもしれませんが、今、鶴岡市は日本国内でも注目されている都市の一つです。「バイオクラスター」として今後期待されるバイオ産業の活性化の推進に取り組んでいます。

スパイバーも、その本社を置く鶴岡市も今後注目を浴びていくでしょう。

Spiberについては外部サイトでも多数紹介されています。

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